注目講演
各分科に投稿された講演の中から,プログラム編集委員が「おもしろい講演なので、他の分科の参加者にもぜひ聞いていただきたい!」とおすすめする講演です。
※講演番号の読み方:11p-M116-1は11日,pは午後,M116会場の1番目の講演を意味します.
講演番号 | 中分類
講演タイトル |
講演者(所属) |
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推薦理由 | ||
11p-W810-11 |
31.1 フォーカストセッション「AIエレクトロニクス」金属酸化物系シナプス素子のSTDP評価と学習器への応用検討 |
丸亀 孝生 (東芝研開セ) |
本研究では、ニューロンの記憶最小単位シナプスの可塑性現象であるSpike-Timing-Dependentsynaptic Plasticity (STDP)を抵抗変化素子で再現、アレイ化し、STDPスパイク印加により差動動作用抵抗ペアを作成した、この差動型シナプスは、ニューラルネットワークの基本シナプス単位とみなされ、教師あり学習などへの応用が期待される。 | ||
11p-M116-1 |
1.5 計測技術・計測標準ナノ材料の熱物性の計測に向けたマイクロスケール熱電対の開発 |
花村 友喜 (阪大院基礎工) |
「ナノ材料の熱物性」は、ナノサイズならではの物性が期待できるため、正確で信頼できる計測法への要望が大きい。これまで、金属細線の電気抵抗の温度依存性を利用する熱物性計測が検討されているが、熱容量、熱流、印加電流による自己発熱など、ノイズ要因も多い。本発表は、これらの問題が生じにくい微小熱電対を電子線リソグラフィにより作製し、熱物性計測への展開への挑戦を行っている点興味深く、注目に値する。 | ||
9a-W631-8 |
3.7 レーザープロセシングフェムト秒レーザー微細穴あけ加工におけるビームモードの最適化 |
場本 圭一 (東大物性研) |
本講演では、ビームモード可変なレーザー加工装置を構築し、SUS304の穴あけ加工のビームモードの最適化を行った研究が報告される。ビームモードはレーザープロセスの品質を決める重要なパラメータであるが、その依存性を調べるには多くの労力を要する。本研究は加工のビームモード依存性を網羅的に調べる基盤技術を構築した点で意義があるため、注目講演に推薦する。 | ||
11p-W631-2 |
3.11 フォトニック構造・現象熱輻射光源・中間基板・太陽電池一体型近接場熱光発電デバイスの提案 |
井上 卓也 (京大院工) |
熱輻射光源と太陽電池を光の波長以下の距離まで近づけて発電する近接場熱光発電は、高出力密度・高効率動作が可能な発電方式として期待される。本講演・連続する講演では、これまで困難であった、光源と太陽電池の近接(<300nm)と十分な温度差(>700K)の確保を、同時に実現可能な新たな一体型デバイスの提案と実証が行われており、注目に値する。 | ||
12p-W611-4 |
3.13 半導体光デバイス3DセンシングのためのVCSEL増幅器によるドットパターン生成 |
森長 瑞 (東工大未来研) |
VCSEL増幅器をもちいたドットパターン形成に関する先行研究例が少なく、3Dセンシング応用へ期待される研究分野である。 | ||
11p-W331-8 |
3.15 シリコンフォトニクスメアンダライン電極フォトニック結晶光変調器の64 Gbps動作 |
雛倉 陽介 (横国大院工) |
本講演では、フォトニック結晶導波路内において光の群速度が遅くなるスローライト効果と、メアンダライン電極によるRF信号の遅延及び終端抵抗の最適化を組み合わせることで、64Gbps の高速で動作する小型光変調器の実現に成功した。本研究は、光のスローライト効果を最大限に引き出すための電気信号制御手法を明らかとするものであり、大きな意義を有することから、注目講演に推薦する。 | ||
11a-W351-6 |
6.1 強誘電体薄膜Theoretical analysis of the influence of aspect ratio and density of nanorod arrays for piezoelectric energy harvesting |
宋 俊東 (名大工) |
IoTの自立電源に期待される圧電エナジーハーベスタについて、ナノロッドアレイを用いた新しいデバイス構造を提案し、ナノロッドのアスペクト比と密度の減少が出力特性の向上をもたらすことを見出している。また、ミリメートル以下のサイズ領域では、従来のカンチレバー型デバイスより大きな出力が期待できる点でも新規性があり推薦する。 | ||
11p-W351-1 |
6.1 強誘電体薄膜組成相境界近傍のPZTエピタキシャル薄膜における微細構造 |
木口 賢紀 (東北大金研) |
工業的に広く利用されているチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)は、特定のTi/Zr組成比を境(MBP)に異なる結晶相をもち、MBP付近で巨大な誘電・圧電特性をもつ。本研究では、薄膜PZTにおいて、基板とのミスフィットに起因する弾性場の影響でMBPがバルクPZTより大きくTiリッチ側となること、またMBP付近でナノスケールレベルの異なる結晶相が共存していることを新たに見出した。 | ||
9p-W323-12 |
8.1 プラズマ生成・診断Arプラズマ中の光捕捉微粒子を用いたシース近傍電界計測法の開発 |
富田 健太郎 (九大総理工) |
シース近傍の電界強度分布はプラズマプロセス制御の重要パラメータである。非侵襲な電界計測法として、レーザー分光法は有効である一方、対象ガス種が限定され、技術的障壁も高い。本発表では、プラズマ中で光捕捉した単一微粒子をプローブとした、新たな電界計測手法を提案している。原理的に任意のガス種で適用可能で、汎用性に優れた新手法として期待できる。 | ||
11p-W641-3 |
8.2 プラズマ成膜・エッチング・表面処理プラズマ誘起欠陥の発生と修復 ~結晶シリコン内の水素と欠陥~ |
布村 正太 (産総研太陽光発電研究センター) |
プラズマプロセス技術は、半導体デバイスの作製に広く用いられている。講演では、半導体プロセス下のシリコン内の水素に起因する欠陥をその場計測した結果が示され、欠陥の発生と修復に関するメカニズムが議論される。各種デバイスの高性能化に向け、プロセスサイドから新たな指針が提供されることが期待される。 | ||
11p-W833-1 |
9.2 ナノ粒子・ナノワイヤ・ナノシート不純物をドープした単分散シリコン量子ドットの発光特性(II) |
杉本 泰 (神戸大院工) |
本講演では、n型, p型不純物を同時にドーピングしたコロイドシリコン量子ドットの開発とその基礎物性解明に関する研究が報告される。サイズ分布を抑制した単分散量子ドットのドナー-アクセプターペア発光特性を詳細に調べ、シリコン量子ドット内部のドーパントの電子状態について議論する講演となり、注目に値するため本講演を推薦する。 | ||
11a-S423-7 |
11.1 基礎物性小さな接合面積のBi2212固有ジョセフソン接合系からのテラヘルツ波放射 |
大野 雪乃 (筑波大数理物質) |
本講演は従来の固有接合発信器の特徴である大面積のメサ構造を見直し発振素子と共振器を別構造とすることによって微小面積の固有接合素子からのテラヘルツ放射を報告するものである。本アイデアによって、発熱やインピーダンスに関する設計が可能となると予想されことから注目される。 | ||
11a-S221-7 |
12.5 有機太陽電池Reduced strain by cesium addition leading to the improvement in the efficiency of tin-lead mixed perovskite solar cells |
Gaurav Kapil (The Univ. of Tokyo, Kyu. Inst. of Tech.) |
スズ鉛混合ペロブスカイト太陽電池は鉛使用量の低減や吸収波長制御などの観点から重要であるがスズイオンの多価性による不安定が要因で高い光電変換効率を実現することが困難であった。本研究では適切な界面制御とCsイオン添加によりこれらの課題を解決し、20.4%の変換効率を実現した。研究の独自性及び達成度の両面で注目に値する。 | ||
9a-W541-10 |
15.4 III-V族窒化物結晶GaN 自立基板上 pn ダイオードの逆方向リーク電流と 貫通螺旋転位周りに存在する Mg との関係 |
宇佐美 茂佳 (名大院工) |
GaN基板上縦型pnダイオードの逆方向リーク電流の起源となる螺旋転位について、転位周りの不純物に着目し3次元アトムプローブにより評価し、リークに関与する螺旋転位にはMgが転位に沿って分布していることを明らかにした。これは、Mgイオン注入などで後天的にリーク源が生み出される可能性をも示唆し、GaN系電子デバイス応用に向け重要な知見である。 | ||
12p-M111-12 |
15.7 結晶評価,不純物・結晶欠陥タンパク質結晶におけるX線の動力学的回折の初観測 |
鈴木 凌 (横浜市大生命ナノ) |
本講演は、タンパク質結晶で初めて動力学的回折の観測に成功した注目すべき報告である。これまで、Siのような完全結晶でのみ観測されてきた動力学的回折が、タンパク質結晶でも起きることを回折実験と理論の両方から証明した点に新規性がある。これは生命現象の解明に資するタンパク質分子の立体構造解析を高精度化できる可能性があり、今後の発展が期待される。 | ||
10p-W833-10 |
16.1 基礎物性・評価・プロセス・デバイス不揮発性相変化メモリ用遷移金属カルコゲナイド相変化材料の開発 |
齊藤 雄太 (産総研ナノエレ) |
本講演では、遷移金属Cuを含むCu2GeTe3が、光相変化材料でもある現行のGe-Sb-Teとは違い、相変化前後で光の反射率変化は大きくないが電気伝導度が3 – 4桁変化するため、相変化メモリ(PCRAM)材料として有望であることが示される。このように、PCRAM向けの新規材料開発指針と最新の成果が報告される予定であり、注目講演として推薦する。 | ||
10p-W521-3 |
17.2 グラフェン乱層積層グラフェンによる光ゲート型高感度光検出器 |
嶋谷 政彰 (三菱電機株式会社, 東京農工大) |
グラフェンを用いた光検出器において乱層グラフェンを適用することによりプロセス的に簡易に移動度を向上させ、感度を3倍向上させている。この結果は今後のグラフェンの実用化に大きく貢献するものであり非常に重要な技術であると考えらえる。 | ||
11a-S011-9 |
21.1 合同セッションK 「ワイドギャップ酸化物半導体材料・デバイス」水素雰囲気異方性熱エッチング(HEATE)法による(010)面 b-Ga₂O₃の高アスペクト異方性エッチング |
大江 優輝 (上智大・理工) |
GaNで実績のある水素雰囲気異方性熱エッチング法による酸化ガリウムエッチング特性を評価している。その結果,酸化ガリウムにおいても高アスペクト比マイクロ/ナノ構造が形成可能であることを実証している。 | ||
9a-W321-9 |
23.1 合同セッションN「インフォマティクス応用」第一原理計算と機械学習によるペロブスカイト型酸化物の強誘電性の予測システムの構築と重要な特徴量の探索 |
西山 準二 (東工大物質理工) |
強誘電体は構成元素や構造、プロセス条件などで特性が大きく変化する材料であり、その設計はこれまで困難であった。この講演では、第一原理計算とインフォマティクスを使って誘電特性を決定する特徴量を探索し、材料開発の高速化、効率化につなげようとしている。この研究は、今後、複雑系材料の予測にもつながる研究であり、注目に値する発表である。 | ||
10a-W331-6 |
“CS4 3.15 シリコンフォトニクス、3.16Optics and Photonics English Sessionのコードシェアセッション”A Versatile Silicon Photonics Platform for Integrated Optics Applications |
Frederic Boeuf (STMicroelectronics, Crolles, France) |
STMicroelectronicsからFred Boeuf氏らは、最先端のCMOS技術を利用して、シリコンフォトニクス部品の高性能化を実現し、光集積回路へ導入を行うとともに、SiNなどの材料も新たに導入してシリコンプラットフォームの拡大を目指している。その一端が招待講演として語られる。 |