注目講演

各分科に投稿された講演の中から,プログラム編集委員が「おもしろい講演なので、他の分科の参加者にもぜひ聞いていただきたい!」とおすすめする講演です。

開催日 時間 会場 中分類


講演タイトル

講演者(所属)
推薦理由
9/5 (火) 13:45~14:15 A405

シンポジウム 「材料ナノテクノロジー:薄膜とナノ複合体の表面と界面」

Topological Quasiparticles: Magnetic Skyrmions

 Axel Hoffmann

(Argonne Natl. Lab.)

トポロジーによりProtectされた準粒子である磁気スキルミオンは低消費電力の磁気メモリへの応用が期待されている。Hoffmann氏は磁性体ナノ細線デバイスへの不均質spin-Hall電流印加という簡便な手法にて室温での磁気スキルミオン生成に成功し、その詳細な挙動を明らかにしている。本講演はスキルミオンの基礎物理にとどまらず、素子設計など応用展開にあたっての有益な情報をも提供するものである。
14:15~14:30 C14

3.5 レーザー装置・材料

Yb:YAG Thin Diskモード同期レーザー共振器中での高次高調波発生

 神田 夏輝

(理研, 東大光量子)

モードロックレーザー共振器内での高次高調波発生を世界で初めて実現した、特筆すべき成果である。講演者らは、高強度モードロックレーザーの開発から高次高調波の観測まで、多くの課題を解決しMHz級の高繰り返し安定動作を実現している。本成果は、当該分野のみならず、物性研究などの幅広い分野にも重要な意義があるため、注目講演として推薦する。
16:30~16:45 A502

9.5 新機能材料・新物性

灰色ヒ素単結晶における超巨大磁気抵抗

 中野 拓也

(東工大フロンティア研)

この研究は、ヒ素単体の単結晶を作成し、その物性を評価したものである。単体物質でかつ磁性体でもないにもかかわらず、この物質は、低温(2K)において通常概念を大きく凌駕する33万%もの超巨大磁気抵抗を示し、室温においても33%の大きな磁気抵抗をもつ。今回の講演では、この劇的な現象の起源について実験と第一原理計算から考察されており大変興味深い。
18:30~18:45 A301

15.4 III-V族窒化物結晶

透明コンタクト層とレンズを用いたAlGaN深紫外LEDのWPE9.6%動作

 平山 秀樹

(理研)

殺菌、浄化、皮膚治療等、幅広い応用分野への普及が期待される深紫外LEDの効率は未だ低く、その大きな原因は、電極を取り付けるp型コンタクト層が深紫外線に対し透明ではなく光を吸収してしまうためである。今回、p型AlGaN透明コンタクト層と高反射Rh電極を導入し、さらにレンズをチップに接合することで、同帯域で世界最高の電力変換効率を実現した。
9/6 (水) 11:15~11:30 C21

13.4 Si系プロセス・Si系薄膜・配線・MEMS・集積化技術

LSI配線におけるZn添加によるCu/SiO2間の相互拡散バリア性の評価

 城戸 光一

(東北大工)

 亜鉛(Zn)がCu/SiO2界面に拡散して薄いバリア膜を形成する技術で、従来Mnで同様のプロセスが実用化されているが、研究例が少なく新しい。400℃までの拡散バリア性を報告。
13:00~13:30 A204

16.3 シリコン系太陽電池

【16.⾮晶質・微結晶分科内招待講演】高効率ヘテロ接合結晶シリコン太陽電池

 山本 憲治

(カネカ)

 高品質アモルファスシリコンの開発や電極抵抗低減などの要素技術の開発を行い、ヘテロ接合結晶シリコン太陽電池として世界最高効率となるセル変換効率として26.6%を実現した。本発表ではさらに、エネルギー損失機構の解析結果を踏まえ、将来の高効率化についての展望についても報告される。
13:45~14:15 C19

シンポジウム「新デバイス・材料開発のためのナノスケール3次元分析(I)」

ナノスケールReRAM/CBRAMデバイスのIn-situ TEM解析

 高橋 庸夫

(北大院情報)

 半導体デバイスの微細化によるLSIの高性能化、および、新たな機能デバイスを追加することが可能となっている。最近注目されている、抵抗変化メモリ(ReRAM)や相転移メモリ(PCM)を例にとり、TEMの中でデバイスを動作させる(in-situ-TEM)評価例を紹介する。故障に向かっての変化過程が明確に観察でき、デバイスの寿命評価などにきわめて効果的である。
17:30~17:45 C14

3.13 半導体光デバイス

Direct Modulation Bandwidth Enhancement Method based on Active-Multimode Interferometer Laser Diode Utilizing Multiple Photon Photon Resonance

 ホン ビンゾウ

(九大)

 アクティブMMIレーザにおいて34 GHzの高速直接変調を実証した.3つの共振器長を有するアクティブMMIにおける複数の光子間共鳴(PPR)を利用することにより変調速度の高速化を実現しており,半導体レーザの直接変調で100 Gbpsを超える高速通信も可能とする優れた成果であることから,注目講演に推薦する.
9/7 (木) 9:15~9:30 C17

合同セッションK 「ワイドギャップ酸化物半導体材料・デバイス」

時間的・空間的隔たり産み出すミスト流を用いた新反応制御技術の開発2

 川原村 敏幸

(高知工大 シス工, 高知工大 総研)

 ミストCVD法において,ミスト液滴の時間的・空間的な隔たりを利用することにより,多元系機能膜の成膜速度や組成比を制御できることが発見された。この第3世代のミストCVD法の威力について,組成制御などその詳細な報告がなされる。
10:15~10:30 S43

11.4 アナログ応用および関連技術

1kピクセル SSPD イメージングアレイの作製

 藪野 正裕

(情通機構)

 本講演は、超伝導ナノワイヤ単一光子検出器(SSPD)の大規模アレイ化に関する飛躍的な研究進展を示す講演であるため、注目講演へ推薦する。これまで最大で64ピクセルだったSSPDアレイを、一挙に1024ピクセルへと拡張した素子設計及び作製に成功しており、当日は各ピクセルにおける超伝導性の均一性等について詳細に報告される予定である。
11:30~11:45 A504

[コードシェアセッション]3.13 半導体光デバイス,3.15シリコンフォトニクス

Si上半導体薄膜DRレーザの高効率・高速変調特性

 中村 なぎさ

(東工大工)

 Si上に貼り付けた薄膜分布反射型(DR)レーザの高効率化,高速動作化を実現している.従来のDRレーザに比べてサイドクラッド層の不純物濃度を低減すると同時に電極-活性領域間距離を短縮することで,緩和振動周波数等の特性が大きく向上することを実証した注目すべき講演である
13:15~13:45 S45

3.7 レーザープロセシング

【3.光・フォトニクス分科内招待講演】フェムト秒レーザーアブレーションによる有機結晶の成長制御

 吉川 洋史

(埼玉大院理工)

 レーザーを用いて溶液中の結晶化を時空間制御するアプローチが注目を集めている中、講演者は、レーザーアブレーションによる結晶の破壊に基づいた独創的な結晶成長制御法に関する研究を展開してきた。特異な結晶成長様式の発生や、有機低分子やタンパク質の単結晶や大型結晶が作製されており,結晶成長制御応用の観点からも注目される。
15:30~15:45 A202

6.3 酸化物エレクトロニクス

LaOエピタキシャル薄膜の超伝導

 神永 健一

(東大院理, 東北大院理)

岩塩構造LaOは高温超伝導体に代表される層状構造に内包される絶縁性ブロック層として存在してきた。一方、LaOの単相は、バルク多結晶体試料が合成されて以降、報告例がなく詳細な物性はわかっていない。講演者らは高品質なLaO単結晶薄膜の合成に成功し、最高4.5Kの転移温度を示す超伝導性の発現に成功した。本成果は極めて重要な成果であり、注目講演に推薦する。
16:45~17:00 A204

[コードシェアセッション]6.1 強誘電体薄膜,13.3 絶縁膜技術,13.5 デバイス/集積化技術

低消費電力応用に向けた強誘電体HfO2薄膜不揮発性SRAMの動作実証

 小林 正治

(東大生研)

IoT時代には超低消費電力エッジデバイスが不可欠である。本講演は、低消費電力化に有効なノーマリーオフ技術を実現するデバイスとして強誘電体不揮発性SRAMに注目、その設計、試作、実証を進めた。サイズ効果の制約がなくCMOS互換性にも優れた強誘電体HfO2を不揮発性SRAM回路に実装しその基本動作実証に成功、インパクトの大きい論文である。
17:00~17:30 A411

1.5 計測技術・計測標準

【1.応用物理学一般分科内招待講演】電子顕微鏡による異種接合界面の解析と接着メカニズムの解析

 堀内 伸

(産総研接着ラボ)

2014年、BMWが発表した炭素繊維強化プラスチックCFRPの大衆車は、車の軽量化を加速化させ、その接合技術としての接着に多くの期待が寄せられている。その「ダメージ耐性」・「信頼性」確保に最も重要な異種接合界面・接着メカニズムの解析について、電子顕微鏡を用いて物理的に、またXPS・分光等を用いて化学的に解析している点、注目に値する。
18:15~18:30 A413

 8.1 プラズマ生成・制御

窒素ブーストによる大気圧熱プラズマジェットの超ハイパワー化

 花房 宏明

(広島大院先端研)

 本講演は、大気圧熱プラズマジェット(TPJ)を用いて更なる高速高温熱処理領域の開拓を試みる意欲的な研究である。プラズマ励起ガスのArに窒素を添加することでTPJをブーストさせ、大幅な熱伝達効率の向上によりパワー密度125 kW/cm2を達成している。Arと窒素の同時プラズマによりTPJ の高出力化を実現したことは、学際的および実用的観点から非常に興味深く、注目に値する。
9/8 (金) 12:00~12:30 C24

16.1 基礎物性・評価・プロセス・デバイス

【16.⾮晶質・微結晶分科内招待講演】X線異常散乱によるアモルファス相変化材料の局所及び中距離構造の研究

 細川 伸也

(熊本大院先端)

 本講演では,X線異常散乱実験から,代表的な相変化材料であるアモルファスGe2Sb2Te5の部分構造情報が報告される。従来の測定系に新たな改良を加えて得た結果に対して,逆モンテカルロ法で得たモデルとのフィットから,短距離構造,中距離構造を含んだ3次元原子配列情報が示される予定である。実験技術の向上とあわせて,相変化現象のその場観察が行える可能性を秘めている。
13:45~14:00 A402

8.7 プラズマ現象・新応用・融合分野

DBD・触媒ハイブリッドCH4/CO2改質の炭素析出挙動

 野崎 智洋

(東工大)

エネルギー有効利用のために誘電体バリア放電(DBD)・触媒ハイブリッド反応場でCH4/CO2を低温で水素などに改質する研究である。これまで問題であった炭素の析出挙動を種々の条件で調査した結果、DBDを重畳させることで炭素析出が抑制される興味深い結果が得られた。プラズマと多孔体触媒の相互作用およびプラズマが誘起するシナジー効果について議論される注目講演である。
15:30~15:45 A504

6.1 強誘電体薄膜

強誘電体PLZTの結晶化メカニズム

 野村 健二

(富士通研)

強誘電体メモリ(FRAM)は、実用化されている次世代不揮発性メモリであり、近年はIoT市場向けの利用拡大が期待されている。発表者はPLZT膜の結晶化アニール時の雰囲気を不活性なアルゴンと酸素の混合状態にすると、製造時の歩留まりが向上する事を見出しており、酸化物薄膜のデバイス応用に関わる研究者・技術者にとって極めて有益な情報であり、強く推薦する。
16:00~16:15 A405

3.9 テラヘルツ全般

全方位非破壊検査に向けたフレキシブルテラヘルツスキャナーの開発

 鈴木 大地

(東工大 未来研, 学振DC)

 測定対象の形状を問わずフレキシブルに湾曲し、全方位測定ができる高感度かつ高解像度のテラへルツスキャナーを開発した。これは、構造の最適化によってノイズの影響を軽減した、高感度なカーボンナノチューブのテラへルツ波アレイ検出器を使ったもので、種々の形状をもつ医療器具や錠剤の検査に威力を発揮することが期待される。