注目講演・プレスリリース

春講演会プログラム編集委員が選んだ20件の注目講演です。

注目講演20件のうち、14件の講演はプレスリリースをいたしました。詳細についてはこちらをご参照ください。

 

中分類分科名 講演番号 講演タイトル 講演者 所属
注目講演推薦理由・

(ある場合は)プレスリリースのリンク

T9 ミートロニクス~誘電体ミー共振器の物理と応用 16p-A205-9 誘電体メタサーフェスが拓く高感度・多次元イメージング 宮田 将司 NTT先端集積デバイス研
誘電体メタサーフェスをイメージング素子の直上に組み込むことで、シンプルな構造で高度な分光イメージングデバイスができることを実証した。本成果はOpticaの機関紙であるOptics&Photonics NEWS(OPN)誌の2022年12月号の表紙をかざっている。

⇒プレスリリースはこちら

T10 水素化物の研究最前線~物質開発と機能の現状・課題・展望~ 15p-A302-6 水素複合化による新しいセラミックス材料の開発と新機能の探求 高津 浩 京大院工
本講演では、セラミックス材料を基盤とした水素複合材料の開発研究が紹介される。成果として「応力下のトポケミカル反応」やプロトン経由反応による物質開発の結果が報告される。安定性や持続可能性の観点から展開される研究はユニークであり、その内容は示唆に富む。社会ニーズにもマッチした材料開発の研究成果を幅広く共有するために本講演を推薦したい。
T16 プラズマ駆動型科学とは何か~プラズマプロセスの新展開に期待して~ 16p-A402-4 機械学習エッチング深さモニタの高精度化に向けた学習アルゴリズムの開発 江藤 宗一郎 日立製作所
半導体製造のプラズマエッチング工程における終点判定では、ウェハ間の加工形状ばらつきに対する終点判定の精度改善に向け、機械学習の適用が検討されている。著者らは、量産現場において高精度な機械学習終点判定を実現するため、エッチング処理後のウェハを用いた学習モデルの更新アルゴリズムを提案した。今後、先端半導体の進展に寄与すると期待される。
T23 化合物薄膜太陽電池の研究開発動向 15p-E502-6 Cu2O/Siタンデム太陽電池の開発と展望 和田 淳 東芝 研究開発センター
Cu2O太陽電池と高効率シリコン(Si)太陽電池を組み合わせたCu2O/Siタンデム型太陽電池は、変換効率30%を狙える汎用元素を用いた高信頼性太陽電池として注目を集めています。このような高効率太陽電池は、電気自動車への応用を含めてモビリティ分野のカ-ボンニュ-トラルに貢献すると期待されています。

⇒プレスリリースはこちら

FS.1 フォーカストセッション「AIエレクトロニクス」 18a-A410-1 スピン波リザバーコンピューティング:実用的な計算性能向上の手法 中根 了昌 東大工学系
磁性体スピン波を用いた時系列データ処理向けの物理リザバーに関する報告である。チップデバイスへ実装する際に課題となる物理リザバーの膨大な出力端子を解決する手法として、異なる磁場条件下で生成した出力状態ベクトルを組み合わせることを提案した。効果をベンチマーク検証しており、実用的な計算性能向上への方法論にもつながる成果として注目に値する。

⇒プレスリリースはこちら

1.6 超音波 17p-D505-9 ドローンに搭載したガスクロマトグラフによるプラントの管理 山中 一司 ボールウェーブ
水晶球を伝搬するボールSAWデバイスを利用することにより,一般的なガスクロマトグラフ装置と比べて小型・軽量なガスクロマトグラフを実現し,ドローンに搭載してガス種の分析に成功している.さらに,カラム長を短くすることにより分析時間の短縮化にも成功している.このことは,ガス種の遠隔かつその場計測という観点からも重要であり,注目講演に推薦する.

⇒プレスリリースはこちら

2.1 検出器デバイス開発 16a-D311-9 半導体ピクセル検出器:SiからCdTeそしてTlBrへ 豊川 秀訓 高輝度光科学研究センター
半導体放射線検出器の開発の歴史をトレースしながら、次世代の半導体検出器であるTlBrとの比較を取り扱い、レビューとしてもきわめて価値の高いと考えられることから、ここに推薦する。

⇒プレスリリースはこちら

2.2 放射線物理一般・放射線応用・発生装置・新技術 17p-D411-1 放射線理工学の将来ビジョン 井口 哲夫 (元)名大, 名産研
放射線分科会 設立65周年を記念し、当分科会に多大なるご貢献をされた先生に今後の展望を含めた放射線理工学についてご講演いただくくものである。
6.1 強誘電体薄膜 15p-A404-6 強誘電特性評価可能なオペランドレーザー励起光電子顕微鏡の開発 藤原 弘和 東大物性研
この発表では、レーザー光電子顕微鏡にソーヤタワー回路を組み込み、強誘電ヒステリシス特性のin-situ測定を可能としています。これにより、強誘電特性と電子状態のの相関の解明、強誘電特性劣化メカニズムの解明等が可能となる新しい技術が示されます。

⇒プレスリリースはこちら

8.1 プラズマ生成・診断 15p-B309-6 トモグラフィック発光分光計測によるアルゴン誘導結合プラズマの電子温度・電子密度の空間分布診断 山下 雄也 東工大
近年、プロセスプラズマの空間分布解析を目的としたトモグラフィック発光分光法が注目されている。著者らは、トモグラフィック発光分光計測で得た実験結果に対し、衝突輻射モデルに基づいた解析を行い、電子温度・密度の空間分布の定量診断に成功した。この成果は今後のプラズマエレクトロニクスの進展に大きく寄与するものと期待でき、注目講演として推薦する。

⇒プレスリリースはこちら

11.5 接合,回路作製プロセスおよびデジタル応用 16p-D215-4 2次元接続されたジョセフソン接合を用いたリザバー計算の画像分類応用における性能について 渡邊 紘基 東北大
機械学習に伴う消費電力を低減するため、様々な新奇デバイスを用いた機械学習用ハードウェアの開発が行われている。本講演は、超伝導素子であるジョセフソン接合を用いたリザバー計算回路のシミュレーションを行い、良好な画像分類の結果が得られたことを報告する。これは、超伝導素子の機械学習用ハードウェアへの応用可能性を示唆する重要な成果である。

⇒プレスリリースはこちら

12.3 機能材料・萌芽的デバイス 18a-B409-6 電気的にスイッチングが可能な有機液滴レーザーの開発 加藤 雅都 筑波大理工
有機レーザーの応用において、レーザー発振の電気制御は重要である。電流注入による有機レーザーの発振制御は重要であるが、課題も多い。もし電場によりレーザー発振閾値を制御できれば、新しいタイプのレーザーディスプレーなどへの応用が期待できる。本講演では、イオン液体からなる液滴レーザーを、電場により発振閾値を制御することで、レーザー発振のオン/オフを実現し、新しい有機レーザーデバイスを提案する。
12.7 医用工学・バイオチップ 18p-E102-1 人の視覚情報処理機能を有する三次元積層人工網膜チップの作製と評価 大西 青葉 東北大院医工
眼内に埋植する人工網膜チップに向けた3次元積層デバイス作製技術を開発した。シリコン貫通配線を用いて制御用のLSIと刺激電流用電極を接続するためのプロセスを開発し、良好な性能を得ることに成功している。本技術により小型かつ高性能な生体埋植型の人工網膜デバイスへの展開が期待される。
13.4 Si系プロセス・Si系薄膜・MEMS・装置技術 15p-B410-9 加熱その場高分解能TEMを用いた薄膜Si固相結晶化過程の原子レベルリアルタイム観察 手面 学 キオクシア(株)メモリ技術研究所
SiO2層に挟まれたCVD-a-Si層のサンプルを高分解能TEM(HRTEM)中で900 Kで加熱しその場観測することで、理想的な固相エピタキシャル(SPE)成長と欠陥形成が生じる不連続なSPE成長の存在を区別して観測している。多結晶Si形成時における、a-Si/c-Si局所界面での結晶成長の描像を明らかにしており、学術的にも工学的にも有用であると考え、注目公演に推薦します。

⇒プレスリリースはこちら

13.6 ナノ構造・量子現象・ナノ量子デバイス 15p-D411-2 結晶相転移接合トランジスタの作製 冨岡 克広 北大情報科学および量集センター
結晶相転移を用いたバンド構造制御は、単一材料中にエネルギー障壁を形成可能な半導体素子の設計手法として注目を集めているが、接合面に対して鉛直方向に電界変調することが困難であった。著者らは、独自の垂直ゲートオールアラウンド構造作製技術によってInPナノワイヤを用いた結晶相転移接合トランジスタの素子動作の実証に成功しており、注目講演として推薦する。

⇒プレスリリースはこちら

13.8 光物性・発光デバイス 17p-B410-12 AgInxGa1−xS2量子ドットの高収率合成とGaSyシェル被覆による狭スペクトル幅緑色発光 上松 太郎 阪大院工
本講演は、低環境負荷の狭線幅緑色量子ドット蛍光体の合成に関する報告である。一般に、ディスプレイ応用には高色純度の緑色発光が必要であるが、本研究はカドミウムを含まないAgInGaS系量子ドットに注目し、独自の合成手法を用い副生成物が生じることなく狭線幅化(30 nm以下)した緑色発光の観測に成功している。デバイス応用の観点からも注目すべき講演である。
15.4 III-V族窒化物結晶 17p-B401-6 スパッタアニールAlNを用いた波長230 nm帯UV-LEDの開発 上杉 謙次郎 三重大共創機構, 三重大院地域イノベ
高効率紫外光源の実現に向けて、AlGaN系LEDの短波長化と高出力化が進められています。今回、Face-to-Faceアニール処理を施したスパッタ成長AlNを用いて、過去最高の外部量子効率を有する230nm帯UV-LEDを作製しました。本成果は、人体に損傷を与えることなく細菌やウィルスの不活化が可能な遠紫外光源の開発に繋がります。

⇒プレスリリースはこちら

17.2 グラフェン 17p-B309-15 グラフェンの量子トンネル効果による水素同位体分離 保田 諭 原子力機構
近年,単層グラフェンの用途として水素(H2)と重水素(D2)の分離膜への応用が注目されている。本研究は,電気化学的手法および理論の両アプローチを通じて,グラフェンのH/D分離機構が量子トンネル効果に由来することを初めて明らかにした。常温で高いH/D分離能を有する水素同位体分離デバイスの実現につながるもので,学術的にも大変興味深く注目すべき講演である。

⇒プレスリリースはこちら

21.1 合同セッションK 「ワイドギャップ酸化物半導体材料・デバイス」 15p-E102-12 TiO2 (110) 基板上ルチル型SnO2の選択成長 高根 倫史 京大
ルチル型GeO2は、理論計算によってp型およびn型の両方の伝導を示す可能性が示され、次世代の超ワイドギャップ酸化物半導体材料として注目を集めている。講演者はこれまで、このルチル型酸化物半導体について、GeO2からSnO2の全組成範囲にわたる混晶化などを報告してきている。本研究ではこのルチル結晶について、ある条件における転位密度の低減を発見し、その成長機構を明らかにしている。将来の革新的パワーデバイスに向けた大きな進展と認められ、本講演は注目に値する。

⇒プレスリリースはこちら

CS.7 12.5 有機・ハイブリッド太陽電池、13.9 化合物太陽電池、16.3 シリコン系太陽電池のコードシェアセッション 18p-A408-2 ペロブスカイト/シリコンタンデム太陽電池の1000時間光耐久性 塩川 美雪 東芝エネルギーシステムズ, 東芝
ペロブスカイトーシリコンタンデムはホットトピックスであり、T 90:>1000 時間以上の耐久性を世界で初めて実現した点。

⇒プレスリリースはこちら